本文
自動車からの排気ガスや、工場からの煙に含まれる窒素酸化物(二酸化窒素など)や炭化水素(揮発性有機化合物)などが、太陽の光に含まれる紫外線によって光化学反応と言われる反応を起こすと、「オゾン」や「PAN(ペルオキシアセチルナイトレート)」などの酸化性物質ができます。これを「光化学オキシダント」といいます。
光化学オキシダントの大部分は「オゾン」であるため、県内各地に「オゾン計」を設置し、光化学オキシダント濃度を常時監視しています。
4月から9月にかけては、光化学オキシダントの濃度が高くなりやすい季節です。特に次のような条件がそろうと濃度が高くなる傾向があります。
・日差しが強い(紫外線が多い)
・風が弱い (光化学オキシダントが拡散しにくい)
・気温が高い (光化学反応がさかんになる)
光化学反応によって光化学オキシダントや粒子状物質の濃度が高くなると、空に白いモヤがかかったような状態になることがあります。これを「光化学スモッグ」と言います。
光化学オキシダントは、目やのどなどの粘膜を刺激します。光化学オキシダント濃度が高い状態が続くと、以下のような症状が出ることがあります。
※ 子どもや高齢者の方、体が弱い方などは光化学オキシダントの感受性が高いと言われていますので、特に注意が必要です。
光化学オキシダントが一定の濃度を超え、その状態が継続すると思われる場合には「予報」や「「注意報」が発令されます。注意報等の発令区分は次のとおりです。
区分 | 発令基準 | 発令されたらどうするか? |
予報 | 濃度(1時間値)が0.10ppmを超え、さらに状態の一段の悪化が予測されるとき ※ 予報は大分県独自の制度です。 |
(特になし) 「今からさらに光化学オキシダント濃度が高くなり、注意報を発令するおそれが高いので、あらかじめ備えておいてください」というお知らせです。 |
注意報 | 濃度(1時間値)が0.12ppm以上となり、状態の継続が認められるとき | 光化学オキシダント濃度が高くなっているので、以下のことに気をつけてください。 ・不要不急の外出を控え、窓を閉めてなるべく室内ですごしましょう。 ・屋外での激しい運動はさけましょう。 ・目がチカチカする、のどが痛いなどの症状が出たら、洗顔やうがいをして室内で休みましょう。 ・症状がひどいとき、おさまらないときは医師の診察を受けてください。 ・自動車の使用は控えるようご協力ください。 ・工場、事業場の方は大気汚染物質の排出量の減少にご協力ください。 |
警報 | 濃度(1時間値)が0.24ppm以上となり、状態の継続が認められるとき | |
重大警報 | 濃度(1時間値)が0.40ppm以上となり、状態の継続が認められるとき |
ppmは、parts per million(100万分の1)の頭文字をとったもので「ピー・ピー・エム」と読みます。
1ppmは「100万分の1」に該当します。大気中に含まれる光化学オキシダントはごくわずかですので、ppmという単位を使って表します。
(単位換算の例)
1,000,000ppm=100%
1,000ppm=0.1%
光化学オキシダント濃度が1ppm = 「1m3の空気」の中に、「1cm3の光化学オキシダント」が含まれている状態です。
大分県における光化学オキシダント濃度(昼間)の年平均値の推移は下図のとおりです。
図 光化学オキシダント濃度(昼間)の年平均値の経年変化
大分県(大分市を除く)内の測定局の平均
注意報等発令状況 |
|
昭和48年11月 |
発令なし |
平成19年度 |
注意報 平成19年5 月 9 日(津久見市) |
平成20年度 |
発令なし |
平成21年度 |
予 報 平成21年5 月10 日(別府市) |
平成22年度 |
発令なし |
令和元年度 | 注意報 令和元年5 月25 日(由布市) |
令和2年度以降 | 発令なし |
>> 大分県の現在の光化学オキシダント濃度(オキシダント日報のページ)に行く
(1時間値の速報値であり、確定した値ではありません)
>> 大分県の最新の予報・注意報の発令状況(県民安全・安心メールのページ)に行く
「最新の配信情報」→「光化学オキシダント情報」でご覧いただけます。
>> 大全国の光化学オキシダント注意報・警報発令状況に行く
(そらまめ君:環境省大気汚染物質広域監視システムのページ)
光化学オキシダントの原因となる「窒素酸化物」や「揮発性有機化合物」の排出量は以前よりも少なくなっていますが、光化学オキシダント濃度が下がっていません。
大分県衛生環境研究センターでは、国立環境研究所や他の都道府県と連携して、光化学オキシダント濃度が下がらない原因を調査研究を行っています。
これまでに「大気汚染物質の越境移流により光化学オキシダント濃度が高くなることがあること」や「地域により光化学オキシダント濃度の挙動に差があること」などを明らかにしてきました。
詳細は「大分県衛生環境研究センター年報」で報告していますので、興味のある方はご覧ください。