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ゆけ、シンフロ部!
大分県知事 広瀬勝貞
ご多分にもれず、大分県にとっても人口減少をどうやって食い止めるかは大問題です。
「子育て満足度日本一」の取組みは、子育て中のお父さん、お母さんを地域で支え応援しようという、それ自体大事な目的があるのですが、大分県にとってはもう一つ、人口減少対策のねらいもあります。しかし、それだけでは人口減少は食い止められません。これは、過去5年間の平均の数字ですが、大分県から毎年21,120人が県外に出て行き、逆に入ってくるのは19,102人です。差し引き2,018人が流出して、これが人口減少の大きな要因になっています。
この純減2,018人を年齢別に見ると、15歳から24歳が2,169人の純減で、この年齢層が純減のほとんどを占めています。県外の高校や大学で学び、そのまま就職する若者だと思います。だから県内の高校や大学を充実したり、就職の機会を作ることも大事だと思いますが、それでも若者がいろいろの所で学び、そのまま活躍の場を見つけるというのは、やむを得ないところもあります。むしろ結構なことだと思います。
大事なことは、大分県にもできるだけ多くの人々に学びの場、仕事の場、あるいは生活の場として来てもらうことです。懐かしい故郷に帰ってきてくれれば有難いし、これから大分県を故郷としてやってきてくれるのも大歓迎です。UIJターンですね。そのため大分県では、東京、大阪、福岡に専門のスタッフを置いて、大分県の仕事や暮らしを紹介し、いろいろ相談にあずかっています。
10月に、そんなUIJターン促進のイベントとして、東京で先輩移住者の方々に体験発表をして頂きました。外から来た人が一様に賞賛していたのは、やはり大分の美しい天然自然、そこで育まれた美味しい食、そして心豊かな隣人たち、その中での子育て環境や教育環境等でした。そして驚いたのは、こんな大分県の魅力の中から、自己実現できるような、自分で満足できるような仕事を創り出している人が多かったことです。例えば、豊かな自然の中で、自分が思ってきたやり方で農業をやる人、美味しい食材があるから、これまで磨いてきた腕前を使ってレストランや民宿をやる人、ICTの時代ですから、取引先を大都市に持って、こちらを仕事場にしている人、さらにまたとない生活環境に家族を置いて、自分は東京に逆単身赴任している人など、様々です。地域おこし協力隊として活動するうちに、地域にある多種多様な課題解決のためにコミュニティビジネスを始めている人もいます。
大分県のコマーシャル動画、「シンフロ」をご存知の方は多いと思いますが、柳の下のドジョウをねらって、今年も標題のようなシンフロ第2弾を作りました。これが結構好評なのですが、部活か東京の大学受験かで悩む高校生、いろいろあったけれど最後は快く送り出す友人、そしてラストのコピーが良いのです。
「おんせん県は、お湯を沸かして待ってるよ。」
県政だより新時代おおいたvol.109 2016年11月発行