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日本独特の香りを追求する小川香料株式会社のレモン栽培への道

印刷ページの表示 ページ番号:0002289671 更新日:2024年3月4日更新

総合香料メーカーが国産原料にこだわり農業参入を決意​


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​▲小川香料おおいた佐伯農場株式会社のレモンほ場(左)代表の上野氏(右)辻氏

1893年創業の小川香料株式会社は、各種香料の開発、製造、販売を手掛ける総合香料メーカーです。同社では、国産原料の調達を目標に、2018年8月、新規事業として大分県佐伯市でレモン栽培をスタートさせました。
農業分野への新規参入にあたり、独自の支援制度を持つ大分県のサポートが大きな原動力になったと言います。代表取締役社長 小川 裕さんに、異業種からの農業参入を決断した経緯、今後のビジョンについて伺いました。​
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​▲小川香料株式会社代表取締役社長の小川氏

〇​日本独特の香りを届けるために

小川香料が製造している香料は、食品や香粧品などの最終消費財に広く使用されています。同社では、創業当初から香料の原料を海外から輸入してきました。台湾や上海ではプランテーションで香料の原料となる植物を栽培していた歴史があります。日本では、北海道でシソを栽培して精油を抽出するなど、日本独自の香りを生み出してきた実績があります。

香料を通じて社会に貢献する中で、次第に日本の自然や伝統、文化といった独自の魅力を再認識し「日本独特の香りを世界中の人々に伝えたい」という思いが強くなっていったという小川社長。
日本独特の香りをお客様に訴求して販売力を上げるために、原料を海外から輸入するのではなく、原料そのものを作り、独自の国産原料で香りを作り込んでいけたら、私たちの強みになると考えました。そして、強みそのものがSDGsへとつながっていくのではないか、という気付きもあり、農業参入を模索し始めました。


〇「自社の強みを生かせる品目×地域」を探す
小川香料が本格的に農業への新規参入を決意した背景には、自社製品の原料調達という明確な理由がありました。しかし、最初から栽培品目を限定していたわけではありませんでした。
農業を始めるにあたり、品目ありきではなく「自社の強みを生かせる品目×地域」はどこなのかというかけ算で考えました。製造拠点の岡山工場からのアクセスのよさなど、立地条件も考慮しながら、2017年ごろから手当り次第に場所を探し始めました。

 

大分県での農業参入に魅力を感じたポイントとは


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いくつかの自治体を比較検討していく中で、候補地が絞られていきました。物流を考えた上での立地条件や自治体からのサポートのレベル感、その地域に自社の強みを生かせる品目があるかなど、重要なポイントを総合的に判断していったと言います。

〇大分の栽培品目「マリンレモン」に注目
大分県は温暖な気候で、柑橘類の栽培が盛んに行われています。柑橘の香りは世界中で親しまれていて、中でもレモンは主力原料のひとつです。レモンは、寒さに弱く栽培地域が限定されますが、大分県には「マリンレモン」の栽培実績があり、候補地選びのポイントになりました。​

私たちはフレッシュレモンの独特の風味、強烈に匂うだけでなく芯の太い香り作りを得意としてきました。フレッシュさと力強さを感じられる大分県のマリンレモンには、大きな可能性を感じました。


〇行政の中に企業誘致の部署があり、チームでのサポート体制が充実
​大分県では、農林水産部 新規就業・経営体支援課 企業参入支援班(専任スタッフ4名)と県地方機関、企業参入担当(1名)、さらに市町村やJAなどの関係機関や県庁関係各課が連携し、参入相談から栽培開始までワンストップ体制でのサポートを行っています。

大分県と佐伯市が連動してきめ細やかなサポートが受けられるのも魅力でしたし、何よりもスタッフの情熱が伝わってきましたね。また、JAグループとも連携でき、農業のプロからさまざまなアドバイスを受けられたので、円滑なスタートを切ることができました。

〇農地のあっせんや基盤整備事業の推進

大分県では、農地のあっせんや土地の集約にも尽力しています。小川香料が新規参入を検討していたタイミングで、佐伯市のみかん畑の荒廃地で農地の集約化が進められていました。集約後の農地で新たな担い手を探していたこともあり、8haのまとまった農地を確保することができました。基盤整備では土壌改良が施され、鳥獣害対策なども行われるなど、サポートも万全でした。

 

農業参入に必要な準備やサポート、利用した補助金は?


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小川香料は2018年8月に現地法人を立ち上げ、2021年3月よりレモンの苗木の定植を始めました。2022年3月には8ha 4,000本の定植を終え、本格的に栽培がスタートしました。

事業を展開する上で、いくつかの補助事業を利用しています。補助事業の選定には県やJA全農おおいたのアドバイスを受けました。国や県の補助事業の中から補助率などを見極め、最適な補助事業を複数組み合わせて利用したそうです。


利用した補助事業
■農地耕作条件改善事業
■農地中間管理機構関連農地整備事業
■産地生産基盤パワーアップ事業
■果樹経営支援対策事業
■次代へ繋ぐ園芸産地整備事業(旧:活力あふれる園芸産地整備事業)(大分県)
■企業等農業参入推進事業(大分県)


〇 人材の確保|県やJA全農おおいたから紹介された2名を採用

農業への新規参入にあたり、人材の確保も重要です。小川香料ではJA全農おおいたの紹介で農場長を1名採用したほか、県の紹介で農業大学校出身者1名を迎えました。農場長は地元の建設会社経営の実績もあり、地域との連携をはかる上でも心強い存在です。


〇栽培サポートや講習会で技術を習得

大分県では、約200名の普及指導員が栽培技術、農業経営をバックアップしています。小川香料では普及指導員、佐伯市農政課、JAなど関係機関の担当者が週に1回ほ場を訪れ、苗や病害虫のチェックなど技術サポートが頻繁に行われているほか、講習会などにも参加して、栽培技術を学ぶことができます。

企業概要

農業を行う法人名 小川香料おおいた佐伯農場株式会社
参入企業名    小川香料株式会社
参入年度       2018年
所在市町村      佐伯市
経営品目、面積  レモン/8ha
https://www.ogawa.net/