本文
第27回 豊の国木造建築賞結果
「豊の国木造建築賞」は、昭和61年に始まり、今年度で第27回を迎えました。
今年度は、住宅32点、住宅以外9点、リフォーム部門においては、住宅5点、住宅以外2点の合計48点の応募があり、新築部門において最優秀賞1点、優秀賞2点、奨励賞1点、リフォーム部門においては優秀賞2点、両部門を通じて協賛賞9点の計15点を入賞作品として決定しました。
応募作品は、建築主をはじめ、設計者、施工者、それぞれのこだわりが感じられる作品が多くみられました。
◇ 応募期間 : 7月13日~8月20日
◇ 書類審査 : 9月 5日
◇ 現地審査 : 9月19日、25日
入賞作品(新築部門)
部門 | 賞 | 建築主 | 建物所在地 | 用途 | 設計者 | 施工者 |
---|---|---|---|---|---|---|
新築 | 最 | O邸 | 大分市 | 住宅 | 後藤建設株式会社 | 後藤建設 株式会社 |
優 | 吉田 英史 | 別府市 | 住宅 | アーキテック・一級建築士事務所 | 株式会社 アイビックホーム | |
優 | 竹中 靖典 | 由布市 | 住宅 | 山道勉建築 | 株式会社 佐伯建設 | |
協 | 大分県建設業協会賞 | 住宅 | 日本ハウジング株式会社 | 日本ハウジング株式会社 | ||
甲斐武・甲斐裕子 | 大分市 | |||||
大分県建設組合連合会賞 | 住宅 | 有限会社 | 株式会社 熊野建設 | |||
S.T.T House | 豊後大野市 | |||||
大分県建設合同労働組合賞 | 住宅 | 株式会社 | 株式会社 大建設 | |||
山村 幸次 | 豊後大野市 | |||||
大分県建築士会賞 | 住宅 | 三ヶ尻設計事務所 | 株式会社 幸建設 | |||
土井 敏裕 | 日出町 | |||||
大分県建築士事務所協会賞 | 住宅 | 一級建築士事務所たかせao | woodland | |||
小門 哲生 | 中津市 | |||||
大分県職業能力開発協会賞 | 住宅 | 橋本 優子 | 有限会社 セルフリッジスホーム | |||
橋本 義幸 | 大分市 | |||||
大分県森林組合連合会賞 | 住宅 | 柳瀬真澄建築設計工房 | 有限会社 筑羽工務店 | |||
秋吉 達次郎 | 由布市 | |||||
大分県地域づくり機構(大分県住宅供給公社)賞 | 住宅 | 伊藤憲吾建築設計事務所 | 株式会社 平野工務店 | |||
後藤 安徳 | 杵築市 | |||||
奨 | 由布院別邸 樹Dinig 十和蔵 | 由布市 | 飲食店 | 皇商業空間設計 | 株式会社 栗木工務店 |
入賞作品(リフォーム部門)
部門 | 建築主 | 建物所在地 | 用途 | 設計者 | 施工者 | |
---|---|---|---|---|---|---|
リ フ ォ ー ム | 優 | 下田 浩 | 竹田市 | 住宅 | 有限会社 | 有限会社 川野組 |
財津治子・河野健司 | 別府市 | 飲食店/Cafe | 株式会社 オクト・パス 代表取締役 渡邉 章 | 株式会社 オクト・パス | ||
協 | 大分県木材協同組合連合会賞 | 住宅 | 有限会社 エイチエム建築企画室 阿南 政春 | 株式会社 丸高建設 | ||
合原 まどか | 玖珠町 |
最優秀賞および優秀賞作品の紹介(新築部門)
最優秀賞
- O邸 -
作品データ | |
---|---|
所在地 : 大分市 | |
作品のポイント | |
「四季を通じて住を楽しむ空間を」との要望で、外観は落ち着きのある”むくり”大屋根の木造住宅とし、家の中心と重心を中央部に合わせ地震に強い構造とした。玄関から続く土間と南北に設けたウッドデッキにより、四季を通じて外とアクセスできるように配し、家の中心に吹き抜けのあるリビングを設け、各部屋への動線の中心とし、セキュリティとプライベートを保ちながら四方から風が流れ、排出されるように欄間・高窓を配した。室内は広い廊下とバリアフリー、ドアは引戸を中心に開放感を持たせ、夫婦の部屋には専用の洗面、トイレを設けて老後に配慮した。 |
優秀賞
- 吉田邸 -
作品データ | |
---|---|
| |
作品のポイント | |
敷地は朝見神社へ続く主要な道路の角地にあり、静かに佇むイメージとなるよう外壁の色を黒を基調とした。また、敷地は準防火地域内であるので、外壁を燃えにくい材料とする必要があるが、制限のない部分には板張りや格子などを設置し、モダンな外観の中に自然なやさしい雰囲気となるように気をつけた。計画当初より薪ストーブの採用が決定していたので、建物中心に吹抜を設け、室内空間を立体的な一室空間として取り扱うことで薪ストーブの暖気が室内の隅々にまで行き渡るように配慮している。家族の顔が見える生活を送ることができるよう、共用勉強コーナーを2階に設置し、子供室も吹抜に面して設置している。吹抜の廻りをぐるり一周できる、回遊する動線は便利の良い動線というだけでなく、生活に楽しさを与えるものである。 |
優秀賞
- 竹中邸 -
作品データ | |
---|---|
所在地 : 由布市 | |
作品のポイント | |
代々住み継いでこられた築80年余りの古民家の建て替えです。長年の増築も含め大きすぎた住居を共に息遣いが感じられご両親が穏やかに過ごされるようなバリアフリーの家をと望まれました。 |
優秀賞作品の紹介(リフォーム部門)
優秀賞
- 下田邸 -
作品データ | |
---|---|
所在地 : 竹田市 | |
作品のポイント | |
かなり長い間空き家だった明治期の商家を、平成18年に街並み環境整備で、前面と裏面2階及び屋根葺き替え工事を行った。その後も空き家の状態であったが、所有者の娘さん夫婦が住宅として住みたいと計画が持ち上がり今回の改修となった。道路面は大正期に改修した時の図面が残っていたのでそれを参考とし街並みに考慮した。所有者から、東西(中庭~道路)に風が通り、夏涼しかったと聞き、道路面の欄間を開閉できるように改修し風の道を作った。全面的にバリアフリーを考慮したが、計画上段差ができる部分は、10cm内外とした。想い出としての、2階和室(書院)・広縁・広縁側の建具は修繕しそのまま残した。 |
優秀賞
- 財津・河野邸 -
作品データ | |
---|---|
所在地 : 別府市 | |
作品のポイント | |
別府鉄輪の温泉街に位置する、築130年の医院だった空家をオーナーの残したい想いと現在のカフェ店主の鉄輪を愛する想いに共感し、この形や雰囲気、時代背景を出来るだけ残して伝えたいという想いから始まりました。雨漏りのためにやり替えていた屋根以外は壊れかけていたと言っても過言ではない状態の建築物のリノベーションでした。玄関屋根の手の込んだ意匠、今は作られていないガラスのレリーフ・・・内装の床などは雨漏りでほとんど腐っている状態の中、ひとつひとつ手作業で選別した使える木材を2階の床材として再利用、ガラス窓も店内の意匠として使い、当時使われていた台所の作り付けの家具は、展示スペースやバック棚として生まれ変わりました。壁材には呼吸をする木材と相性のいいホタテ貝の漆喰の壁を用い、空気環境も天然素材による安全性を重視、店内でのここちよさも、大きな窓からの風と共に町の景色も感じて頂けるよう配慮しました。外部も当時の形を残しながら、新しく加えたところも古さを演出した杉板の鎧貼り、昔からよく使われていた薄いブルーグレーの塗装でノスタルジックな鉄輪の景観に溶け込むような仕上がりになっています。観光地である鉄輪の、旧き新しき形のカフェレストラン「むすびの」が食文化や様々な文化を通じて皆さんと繋ぎ合って行く場所となることが嬉しく感じています。 |