1-1 幼稚園、小・中学校等、高等学校
1 幼稚園、小・中学校等、高等学校
(1)現状と課題
ア 幼稚園、小・中学校等
(ア) 特別支援学級在籍者数・通級による指導の教室利用者数の増加
特別支援学級の在籍者、通級による指導の教室の利用者ともに増加の傾向にあり、本県では、平成23年度から5箇年計画で、特別支援学級を200学級増設してきました。
特に、対象となる障がい種別の中でも、自閉症・情緒障がいの特別支援学級の増加が顕著です。
通級による指導の教室を利用する児童生徒は、年々増加してきており、特に自閉症スペクトラム障がい、学習障がい(Learning Disabilities以下「LD」という。)又は注意欠陥多動性障がい(Attention-Dificit/Hyperactivity Disorder以下「ADHD」という。)などの発達障がいの児童生徒を対象とした通級による指導の教室の利用者が多くなっています。
平成29年度の通級による指導の教室の利用状況は、1教室あたり7.1人であり、国の基礎定数(13人に1名の教員)を下回っています。教室ごとの利用者数は、1~26人とばらつきが大きいという現状があります。さらに、本県では、他校通級を行うための公共交通機関による通学が困難なこともあり、自校通級が全体の約86%となっています。
【在学する学校で指導を受ける自校通級利用者:336名】
【他の学校に定期的に通級し指導を受ける他校通級利用者:54名】
(イ)特別支援学級・通級による指導の教室担当者の専門性
特別支援学級や通級による指導の教室を担当する教員の半数以上が特別支援教育の経験が3年未満という状況が続いています。特別支援学級、通級による指導の教室の担当者は、小・中学校等の学校長により決定されることから管理職の理解を深めることが課題であると考えられます。
イ 高等学校
「平成28年度特別な教育的支援を必要とする幼児児童生徒の実態調査」(県教育委員会実施)によると、公立高等学校では、何らかの困り(発達障がいの診断のある生徒を含む)のある生徒が5.3%程度在籍していました。
また、中学校で特別支援学級等に在籍していた生徒の50%程度が毎年、高等学校へ進学しています。
社会的自立の直前の高等学校には、発達障がい等による困りのある生徒や、特別支援学級の在籍経験のある障がいのある生徒が在籍しており、適切な特別支援教育を提供することが喫緊の課題であり、就労・進学後の社会不適応等が懸念されます。
(2)今後の計画
◆課題1 特別支援学級・通級による指導の教室の在り方
インクルーシブ教育システムの構築に向け、地域の実情に応じた通級による指導の教室の増設等を含めた特別な教育を行う場の在り方を検討し、充実した「学びの場」を整備します。
○地域のニーズに応じた特別支援学級・通級による指導の教室設置
○他校通級による指導を活用できる環境の整備
◆課題2 管理職の特別支援教育への意識向上
本庁関係指導課と教育事務所との連携のもと、小・中学校等の管理職や授業改善等の助言を行う機会の多い指導主事が、特別支援教育の視点からの学校運営及び授業改善の必要性や重要性への認識を深めることができるような働きかけを工夫します。
○管理職や管理主事への専門的研修の実施
○県教育委員会及び市町村教育委員会指導主事の特別支援教育に関する研修の実施
◆課題3 公立高等学校における特別支援教育の推進
特別な教育課程や支援を必要とする生徒が在籍する高等学校への通級による指導の教室設置や、特別支援教育支援員の配置などを具体的に検討します。
○合理的配慮提供の徹底
○特別支援教育支援員の配置の促進
○必要な学校への「通級による指導の教室」設置の促進