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ダム周囲の山々の新緑が美しい季節になりました。
玉来ダムでは、引き続きコンクリ-ト打設を進めると共に、貯水池のグラウチング※1の施工を行っています。
両岸の造成アバットメント※2部分は、天端に届くまであとわずかを残すのみとなりました。引き続き、工事の安全と周辺環境に、より一層配慮し、早期完成に向けて事業を進めていきます。
※1グラウチングとは、 ダム上流部の止水対策として、岩盤内の割れ目にカーテン状にセメントミルクを注入するもの。
※2造成アバットメントとは、 ダム基礎岩盤としては、強度の小さい地山に、コンクリートを用いて造成した人工岩盤。
令和3年5月6日撮影
「魚釣戸の滝」は、玉来ダム上流にある滝です。吐合川、玉来川の二つの川は、この滝で合流します。この滝には、「孝行者与一」の昔話が伝わっています。
「与一の父は、病気で薬も効かなかった。ある日、父親が元気なエノハ(ヤマメ)が食べたいと言うので、与一は、日暮れ時なのにもかかわらず滝まで行って、一匹だけ釣って魚篭(ビク)に入れて帰った。家に帰り着くと、不思議なことに魚篭(ビク)の中のエノハは、5匹に増えていた。このエノハを食べた父親は、たちまち元気になった。この話を聞いた隣の惣助は、滝まで出かけると沢山のエノハを釣って帰った。ところが家に戻りカゴの中を見ると、中のエノハは全部木の葉になっていた。」
という不思議な話の伝わる場所です。この昔話が伝わるように、渓流は古くからエノハ(ヤマメ)の生息地であり、現在でも釣り人に人気のスポットでもあります。
玉来ダムは、流水型ダムで通常の川の流れを生かし、洪水時のみ一時的に水を貯留し、下流域を洪水から守るダムです。この流水型ダムは、水を貯めないため、流入時と同じ水質が保たれ「環境にやさしいダム」と言われています。完成後も、この豊かな環境を引き継いでいけることを願います。
令和2年2月 /平成22年7月撮影
参考文献:竹田市誌 第2巻 平成21年出版